舞台「WILD」観ました。
何か問題提起というか、考えろと言われていることは伝わるけれども、それが何なのかは靄のように掴めない。そういうもどかしさがずっとあるような舞台だった。
ただ、「考えないといけない」というのはすごく感じて。たしかに抽象的というか観念的で、分かりやすくやろうという意図は全くない。でも「難しくてよく分からなかった〜裕翔くん可愛かったね」で終わっていいものじゃないことはすごく感じた。
事前に映画「スノーデン」を観たのでアンドリューがどういうことをやったのかというのは理解できたけれども、映画はエド側で描かれた話で、良く描いている印象で、WILDはその逆側の(とまではいかないにしても、少なくともエド側ではない)立場から描いたのかなとは思った。アンドリューは何か失敗をした、選択肢を間違えた、そういうマイナスな印象を得るような演出だったので。なので「スノーデン」の目線しか知らなかった自分としてはすごくアンドリューに感情移入をすることができたかなと。あの混乱した感じ、ざわざわした感じの没入感がすごかった。
この作品をグローブ座の、ジャニーズ主演の舞台としてやったことにもったいなさを感じていて。俳優を使えとかそういうことでなく、ファンでしかチケットが手に入れられないような舞台だったということが。常日頃からあの事件について考えていたり、関心があった人が見たらどういう感想を持つのかが知りたい。全く触れないような人が考えるきっかけになるというのはすごく効果を感じるけど。
そういう面では「マーキュリーファー」を観た時と似たような印象があるかもしれない。俳優目当てで観に行って、内容で殴られるような。でもWILDはそれを狙うにはやっぱり抽象的すぎるような気もする。
ただ、本当に、思考停止をしちゃいけないなと感じた。すごい舞台でした。観て良かった。